2005年最初に紹介する展覧会は、今をトキメク写真家、ホンマタカシの写真展だよ。しかも、あの中平卓馬を被写体としたもの。それがボクが中学生の頃、学校の帰りに毎日寄って帰った近所の本屋のギャラリーで開かれるってんだから、まさにボクの為に開かれた写真展だと言ってもイイよね。
そんな小さじ1/2の幸福感をかみしめながら見た展示はどうだったか。まず、展示構成としては大きく4つに分かれていたよ。中平へのオマージュとして撮られたであろう海や鴨、数点。中平の周辺を捉えたスナップ、数点。びっしりとメモ書きされたショートホープの空箱を白バック、約10点。あと、ポートレートムーヴィー「きわめてよいふうけい」にアップで映し出された中平の映像を撮ったもの、1点。
気になったのは、展示方法。プリントが壁にピンや事務用クリップ(!)で直接とめてある。ショートホープの写真だけは、表面にアクリルを貼ってあったけど、これも壁に2本の建築用クギを打った上に乗せてあるだけ。ちょっと乱暴すぎやしない?作品点数が少ないとは感じたものの、壁面に対する作品の密度バランスはよかったんだけどな。
イメージとしては、横位置で撮った中平へのオマージュは全然つまらないし、スナップもいかにも酔っ払いの素人が撮りましたという感じ。ホンママニアに言わせれば、そのつまんなさや素人臭さを出せるホンマの感性が素晴らしくイイ、って言うのかもしれないけれど。残念ながら未熟なボクには全く理解できなかったよ。
注目すべきはやはり、ショートホープのタバコの空箱を白バックで写し取ったシリーズ。未だ記憶に障害のある中平が、備忘録としてメモ書きとして使用した(している)もので、赤いボールペンで書かれた読みづらい文字が見る者を不安にさせる。「サイコ的」というワケじゃないんだけど、見るのに落ち着かない感じがしたね。でも、これを展示するなら壁面イッパイを埋めるだけの数を展示してほしかった思うのはボクだけじゃないはず。
今回の展示は、ホンマの小写真集「きわめてよいふうけい」まで持っているボクとしては個人的に期待が大きかっただけに、肩すかしを食らったような内容だったね。ホンマが“こんな写真しか撮ってない”なんてことはないと思うけど、ムービーキャメラと写真のカメラを同時に扱っていたのだとしたら、ボクと同じような迷いが彼にも生じたのかもしれないよね。
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