FEBRUARY 21 ,2005

■石内都 『Mother's』
No.023
[場所] The Third Gallery Aya
[期間] 2005年1月15日〜2月19日
[料金] 無料



ちょっとした知り合いがグループで写真展をするってんで、大阪のあるカフェギャラリーへ出かけたんだけど、ちょうどその会場と同じビルの1階が関西では結構有名なギャラリー「The Third Gallery Aya」だったんだ。ちょっと前に移転してからは一度も行ってなかったんだけど、なんとうまい具合に 石内都の写真展『Mother's』が開催中。これは覗かない手はナイよね。

『Mother's』のシリーズは、亡くなる前後の石内の母親がテーマになっているよ。今回の展示はそのシリーズから、母親の肌のクローズアップしたものを大伸ばしで2点、母親の肌着を写したもの数点、そして、母親の使っていた口紅を写したもの数点。そして、一番大きな壁面にはその肌着を舐めるようなアップで照査したムービーが映し出されていたんだ。

しかし、このムービーが何を意図したものなのか、どうにもいただけない。どうぞと言って、椅子を差し出されて座ったものの、あまりにも退屈で最後まで見続けることはできなかったよ。

なぜか、だって、写真で見たら一目瞭然なモノをわざわざムービーでやってるんだもの。ムービーだとアップで舐めるように撮っていても、モノの質感再現に関しては写真に遠く及ばないんだよね。クローズアップを大伸ばしという石内のスタイルは、そういった“モノの肌理”を求めてのことじゃなかったのかな。だから“写真”という手法を選択したんだよね。もしこれが写真との比較において、写真表現の特性を表すためのものだったとすれば見事に効果を発揮していたと言えるのだけど。

さて、写真でよかったのは、口紅を写し取ったもの。母親が限界まで磨り減らした口紅の存在感がしっかりと定着されていたよ。はがき大くらいのプリントのサイズも、表面に3cm厚のアクリルを貼って自立させるという展示方法もイメージとうまくマッチしていたね。

点数も少ないし、見ごたえのある展示ではなかったけど、なにせ“ついで”に“無料”で石内の作品を見ることができたという点では申し分ない展示だったね。