JULY 9 ,2004

■写真新世紀 大阪展2004
No.014
[場所] 海岸通ギャラリー・CASO
[期間] 2004年4月14日〜5月9日
[料金] 無料



今回見に行ったのは、Canonが主催する「写真新世紀」という公募コンテストの受賞作を展示する「写真新世紀 大阪展2004」だよ。2000年から見てるから、もう5回目になるかな。今までは会場が京都造形芸術大学のギャラリーで家から近かったんだけど、なぜか今年から会場が大阪に変わったみたい。去年レビューした「写真新世紀10周年記念展」が行われたのと同じCASOというギャラリーで、大阪港の辺ピな場所にあるんだよね。会場に足を運ぶだけでヘトヘトさ。

最初に、今回のボク的注目のポイントを言えば、新世紀を超え去年10周年という一つの区切りを迎えた「新世紀写真展」が、どのように新たな一歩を踏み出すのかといったところだったんだ。では、実際に展示がどうだったか。


一言で言えば、「最悪だった」に尽きるね。まず、去年のレビューでボクが危惧していたことが「そのままの形であった」ということ。つまり、審査員は自らの亜流を選び、応募者はそういった審査員の好みや流行に迎合する形でしか提示し得ていないってことだよ。どこかで見たような写真ばかりで見るのもウンザリだったね。佐内正史、MOTOKO、荒木経惟、森山大道、北島敬三...パッと会場に入っただけで、有名写真家の名前が思い浮かぶような写真ばかりだったんだから、もう「新世紀」という看板はいらないんじゃないのかな。

さて、いつものように、今年の受賞作の他にも、去年のグランプリ受賞者、吉岡佐和子の新作個展も開催されていたよ。去年グランプリをとった『Flying Hippo』という作品は気に入っていたから楽しみにしてたんだよね。

それが、どうっだたかと言えば、これも「最悪だった」に尽きるね。新作は、ウミウシをモチーフにしたものなんだけど、稚拙なデジタル処理にも関わらず大きく引き伸ばされているもんだから、見苦しいなんてもんじゃないよ。イメージとしても単純に一匹のウミウシを切り抜いてコピーして、たくさん並べて適当に配置しただけのもの。ツマンナイよね、去年あんなイイ写真を見せてくれたのに。デジタルで勝負するならせめて奈良原を見習うくらいの気概を見せろと言いたかったよ。

さらに追い討ちをかけるように、同じ部屋に去年の受賞作『Flying Hippo』がそのまま展示されていたよ。旧作でお茶を濁すようなら個展なんてしない方がいいんじゃない。見に来る者に失礼ってもんさ。

でも、展示を見てこんなに腹が立ったのは初めてじゃないかな。それだけボクの中に、写真新世紀に期待するものがあったってことなのかもしれないけれど、この路線で進む限り、わざわざ大阪のこんな所まで見に来ることは二度とないかな。