JANUARY 05, 2004

■奈良原一高 HEAVEN展
No.007
[場所] 京都造形芸術大学 ギャラリーRAKU
[期間] 2003年6月10日〜6月22日
[料金] 無料


今回は写真家、奈良原一高の写真展を見てきたよ。たまたま前を通りかかったらやってたんだよね。

奈良原一高。この人程「孤高」という言葉が似合う写真家はいないんじゃないかな。メディアへの露出は少ないし、写真集を出せば、出すたびに作風が違ったりして、ある種捉えどころがないとも言えるよね。でも、どの写真も切れ味鋭いというか、目のつけ所がイイし、作風が異なっても奈良原らしさがあるんだから不思議に思うんだよね。ともかく、チョッピリ気になる写真家の一人ってワケさ。


そして、会場に一歩足を踏み入れると―――流石に期待を裏切らない。いや、いい意味であっさり期待を裏切ってくれたんだよね。実は、今回の「HEAVEN」は写真集が出た時に立読みしてたんだけど、正直あんまりかなって感じで、今回の写真展もそんなに期待はしなかったんだ――― 無料だし見ようかなくらいの軽い気持ちでね。

会場に入ると、デジタルで合成した万華鏡のようなプリントが並んでいたんだけど、これは予想通り。写真集でも見てたしさっさと見て、帰ろうかとも思ったんだけど、見ていくうちになにか違和感というか、引っ掛かるものがあるんだよね。

一見単に万華鏡のような合成をしただけの写真が、同じカットだけでなく、複数の似たようなカットを組み合わせて構成しているのは写真集を見ても分かるんだ。でもね、その詳細部分のわずかな違いが気になったんだよね。これは大きいプリントで見ないと感じられない部分かもしれないな。

そこに気付くと、合成された写真同士のほんの些細な時間や空間のズレにもなにか意図を感じずにはおれない。こうして、極めてシンプルに見える万華鏡のような一枚の写真の前に釘付けになるって寸法さ。

ストレートに見せる写真ではなく、誤解を恐れずに言えば「イロモノ」のような写真でこんな風に感心したのは実に久しぶりだったね。若者が「お手軽デジタル」するのとは全く違う次元のデジタル写真。さすが奈良原だよね。

写真集をもう一度見ても同じ感じは味わえないんじゃないかな、同じ写真展があればもう一度見たいと思わせるに十分な写真展だったよ。