写真にまつわるエトセトラ

DECEMBER 23 ,2004

 
■デジタル化一年の記
No.018



デジタル一眼レフを導入して約1年とひと月、普段持ち歩くコンパクトデジカメを購入してちょうど1年。つまり、35mmフィルムを使用しなくとも写真が撮れる体制になってから1年ということになる。この1年で私の写真がどのように変わったかは、実際に写真を御覧いただくとして、ここでは台所事情の変化について取り上げていきたい。

まずカメラの稼働率の変化について。いつも持ち歩くコンパクトは【IXY Disital L】に取って代わり、メインシステムのボディも【EOS10D】となった。それに伴い極端に稼働率が落ちたカメラはやはり【XA】、【EOS-1、-1N】である。今年までフィルムだった仕事の撮影も来年からはデジタルとなり、【EOS-1、-1N】の出番はますます減少するのは確実だろう。それ以外は、会社に置きっぱなしのOMシステムを使用する時にはフィルムであるし、Leicaで撮る時には相変わらずTri-Xしか使わない。中判はもちろんブローニーと変化なしである。

実は、デジカメを導入するにあたり、何年使用すれば元が取れるのかという試算を行っていた。その結果は1年半使用すれば、ほぼ確実にフィルム使用時よりも安上がりになるというものだった。

さて、現時点でデジタルで撮影したカット数は、【IXY Disital L】が約8,000枚、【EOS10D】が約5,000枚である。どこまで元が取れているのか試算に従って計算してみよう。なお、プリント代はデジタル、フィルムどちらにしても同じ単価なので比較には入れていない。フィルムは業務用ネガフィルム36枚撮、現像代は機械を使わせていただいているラボのセルフ現像価格(社割価格)。

デジタル導入コスト
 
フィルムを使用した場合にかかるコスト
EOS10D
166,000
  (フィルム本数)
(8,000+5,000)÷36=361
BG-ED3
16,000
     
CF512MB
12,000
  フィルム代
361×250=90,250
IXY Disital L
32,800
  現像代
361×550=198,550
SD256MB
10,000
   
バッテリー類計
24,000
   
CD-R
3,000
   
 
合計
\263,800
  合計
\288,800

ほほう!これはスデに元を取っておりますな。
実際にはフィルムの場合、ピント等チェック用に数枚試し焼きをするコストもかかる為、この差はもう少し大きくなると思われる。

でも、ちょっと待てよ。
じゃ、この節約できたお金でウハウハなのかと問われれば、断じてそのようなことはないのだ。むしろ、手元にお金など一切残っていない。これは一体どうしたことだろう。

これは昨年、私の生活環境や基盤が大きく変わったことに起因している。つまり、もしデジタル化せずに、フィルムで撮っていたら、私は写真を撮り続けることはできなかったということ。少なくとも、それまでと同じようには撮ることなど出来なかっただろう。

もちろん機材のデジタル化は、この事態を見越してのことで、ナイス意思決定であったと言ってよい。写真を撮ることを止めた私は、泳ぐことを止めたマグロに等しいのだから。

しかし、ひとつだけ告白しておくことがある。デジタルでフィルムと同じカット数を撮ったとして、その満足感というか、達成感というか、そのような感覚を全然得られなかったということを。あのネガの重さが感じられない。ライトボックスにかざしてダーマトでチェックを入れるワクワク感がない。

同じだけ撮っても、撮ったという気がしない。

果たして私はこの一年、何枚の写真を撮ったと言えるのだろうか。そして、これから写真に何を求めどこへ向かうのだろうか。

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