今回の写真展は、半年前に見に行った『はっちゃんち。』の続編、八二一出版記念展『はっちゃんて、』だよ。半年でもう次の写真集が出て、写真展が開かれるというのがスゴイよね。会場は前回と同じ中津カンテ・Gギャラリー、前回は盛大に道に迷ったんだけど今回は迷うことなく辿り着くことができたよ。
展示会場を見渡してまず目につくのは、B0ノビサイズにプリントされた一枚。さすがに600万画素のデータだとツラくてボロボロの画質だったんだけど、写真家はそんなことは重々承知の上で実験的にプリントしているのだから問題はないよね。出力に4時間以上もかかるB0ノビプリントなんて見る機会もそうないから有難く間近でタップリ観察させてもらったよ。
そして、今回は写真のモデルとなっている猫「はっちゃん」その人が会場に在廊。こういったサービスは基本的には歓迎したいのだけれど、その猫そのものを目当てに来ている人達もたくさんいて、せっかく展示してある写真そっちのけで、撮影会状態になっているのにはまいっちゃったね。
確かに、写真家としてはその猫を見せたくて写真を撮り発表しているのだから、写真と猫を同時に見せられるよい機会なのかもしれない。猫がいない時には会場に人がほとんどいなくて、猫が来たとたん人垣が途絶えることはなかったのだから期待以上の集客効果な反面、写真家としては複雑な心境だったんじゃないかな。問題は人垣の視線が猫に釘付けであり、猫と共に移動するということかな。これは写真家というより、鑑賞する側のマナーの問題だよ。「撮影会」に来ているのならよいのだろうけど、これは「写真展」。写真を鑑賞している人がいるのに、猫が動く毎にバシバシフラッシュを焚いたりって一体どういうことなの?
今回のイメージ的には、前回のものを大幅に下回っていたというのが正直なところだね。やはり半年ではよいイメージを撮り貯められなかったのかな。前回の使いまわしの展示もあったから、写真家本人も分かっているのだろうけど。
蛇足ながら、これは今回出版された写真集『はっちゃんて、』においても同じで、前作『はっちゃんち。』に比較すると数段以上落ちる出来。もっと撮り貯めてから出してもよかったんじゃないかな。もちろん中にはいいカットもあるよ、でもトータルとして見た場合写真の質が明らかに低くセレクトも甘すぎる。せっかくいい味を出している被写体なのに写真がそれに応え切れていないというのは残念だよね。
さて、おそらく『はっちゃんと〜』そして最後は『はっちゃんへ...』と続くであろうこのシリーズ。次回はいつどのような形になるのかで今後の流れが決まるんじゃないかと思うよ。そういう意味で次回には注目だね。
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