JANUARY 28 ,2004

■星野道夫の宇宙
No.008
[場所] 大丸ミュージアムKYOTO
[期間] 2003年8月14日〜8月26日
[料金] 800円(一般)


新聞屋さんからGETした無料優待券を握りしめて行って来た今回の写真展は「星野道夫の宇宙」だよ。何年か前に行った「星野道夫の世界」と同じ大丸ミュージアムKYOTOが会場、同じ会場でどう見せるのかが注目といったところかな。

しかしその前にまず、その安易な写真展のネーミングセンスはギルティと言わざるを得ないよね。以前の写真展と同じようなコンセプトだと思ってしまうし、タダ券がなければ見に行かないところだよ。

では展示はどうか。会場のレイアウトは大丸ミュージアムにおける“いつもの”であり、その宇宙感は感じられない。並ぶイメージとしては、前回見た展示は迫力で押す感じがあったけど、今回のはバランスよくセレクトしている感じ。ピンボケや手ブレは少なくなっていたし、プリントのサイズや並びも順に見ていって前回を見た時のような違和感は感じられなかったね。

意外だったのは風景写真が多かったってこと。オーロラの写真や山の空撮などなど、それらは動物写真と同じくらい存在感があったんだよね。しかしここで、

「なんだ星野道夫ってこんなのまで撮ってたんだー、ううむ、これはまさしく宇宙だよ」

と、唸ったかって言えば、そうとも限らないんだ。
確かに、被写体や表現の幅が広いというのは分かるんだよ、まとまりもあった。でもね明らかに全体としての写真の迫力はトーンダウンしていたのも事実なんだ。そして、どうもその原因は風景写真も含めた"引き”のカットにあるみたいだよ。

ボクは以前、星野道夫は岩合とは異なる視線で撮っていると書いたんだけど覚えているかな。そこで"迫力と臨場感がある”と言っているのだけど、それは岩合等他の人が撮っている写真とは違う勢いが感じられたからなんだ。それは星野の写真が被写体との距離感が近く感じられたということに他ならないのだけど、それが今回は"引き”のカットの割合が多くて希薄になったと思うんだ。

もちろん、ボクが言う被写体との距離感だけが星野のらしさだとは限らないよ。でもね、他の写真家が同じようなものをたくさん撮っている写真は見たくなかったんだ。星野道夫だからこそ撮れた写真、ここに焦点を当てずして、その写真家の"宇宙”を語ろうなんておかしな話だよね。


ここまできて、あらためて考えなければいけないのは、写真家本人は既に亡くなっているってこと。
この写真展は別の人物によってセレクトされているんだよね。とすれば、今回の展示は前回とはセレクトした人物が違うか、同じ人物だとすれば、セレクトする目が変わったってことになるかな。

もちろん選ぶ人にしてみれば、写真家が亡くなっている以上、写真には限りがあるし、大衆向けの百貨店の催しということも考慮に入れなければならないのだろうけど、それにしてもちょっとガッカリな写真展だったね。

みんなもあるんじゃない?CDのベスト盤を買って聴いてみたら、バラードやらR&Bやら各ジャンルからはバランスよく選曲されているのに、肝心の曲が全然ベストじゃなかったってこと。やっぱりねそのアーティストが得意なジャンルは何曲も聴きたいものなんだよね。