さて、今や「光の痕跡」とも言えなくなった写真は、
現在どのように定義されているのだろう。
例えば、「広辞苑」(岩波書店)には次のように記載されている。 (1.)ありのままを写しとること。また、その写しとった像。写生。写実。
(2.)物体の像、または電磁波・粒子線のパターンを、物理科学的手段により、
フィルム・紙などの上に目に見える形として記録すること。また、その記録されたもの。
普通は、カメラを用いて、物体の像をフィルム上に作り、それを感光させ、
現像処理をしてネガを得、これを印画紙に焼き付けて印画を得る。
また、写真用語辞典にはこうある。
『光、放射線、粒子線などのエネルギーを用い、支持体上に視覚的に識別でき、
かつある期間持続性のある画像を形成する技術および記録された画像』
さすがに現代においては、
写真とは光によって記録されるものだというような定義は見当たらない。
なるほど私達が日常接している写真はこれら定義に含まれているだろう。
先のレントゲン写真も問題なく言い表されている。
だが、これらの定義に沿ってみた場合、
一体写真とは何を指して言うのか分からなくなってはこないだろうか。
例えば、前述の原爆の影や日焼けはどうだろう?デジタル写真はどうだろうか?
いったい何が写真を写真たらしめているのだろうか。
これから、上記の定義に則して、「写真」と呼ばれるための条件について弁じていきたい。
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