JUNE 2 ,2004

■都築響一展 「ラブホの夢は夜ひらく」
No.011
[場所] graf media gm
[期間] 2003年10月25日〜11月24日
[料金] 無料



今回は、仕事帰りにブラッと都築響一の写真展を見てきたんだ。場所は、graf media gm という工房とか、カフェとか、ショップなんかが合体したみたいなところだよ。
今回初めて足を運んだんだけど、場所は簡単に分かったんだよ、でもね、建物の中でギャラリーというか、展示空間にたどり着くのが非常に困難だったね。15分くらい同じ階段を上ったり、降りたりして、正直もう帰ろうかとも思った。

それくらい「サイン」が非常に分かりづらかったんだよね。展示の看板は出ているのに、その場所が分からない...脂汗をかきながら、カフェへ間違って入りそうになりながら、ようやくたどり着いたんだけど、もう一度行っても必ず迷うこと請け合いってもんさ。

さて、「ラブホの夢は夜ひらく」というタイトルに、“ラブファニチャー”の展示もアリ、と見る前から穏やかでない気分にさせるに十分なインパクトなんだけど、じゃ実際展示の方はどうか。
まず、会場の照明はいかにも妖しげな雰囲気であり、写真は壁面に展示されていたんだけど、内部の様子は写真展というより、見本市って感じかな。それだけ、ラブなファニチャーが存在感があったってこと。
でもね、それらの魅惑的な展示は、ピュアなボクにはちょっぴりレベルが高すぎて正視すらできなかったってのが正直なところなんだ。誰かさんみたいにそんなツールに指を入れてみちゃったりなんてのはトンデモハップン歩いて10分だったってことさ。

そんなワケで社会勉強が不十分なボクにはラブなファニチャーに関しては、今回はカンベンしてもらうことにして、写真の方を見てみようよ。

壁面にびっしりと展示された写真は、都築お得意のカタログ的並列だ。写っているものは全て、特殊宿泊施設(=ラヴホテル)の一室。それも、ちょっと普通じゃないものばかり ―――

じゃ、何が普通なのかと言われても、社会勉強が不十分過ぎるボクにはよくわからないんだけど、その普通じゃない感じは、遊園地のアトラクションのような部屋とでも言えばいいのかな。

―――それぞれにキャプションとして、各部屋の休憩と宿泊の値段が書いてあったね。でも写真自体の値段は付いてなかったよ、ラブファニチャーには全て値段が付いていて実際に販売していたみたいなんだけどね。

イメージとしては、「TOKYO STYLE」のラブホ版って感じだね。もっと、「ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行」みたいなテイストかと想像していたんだけど、意外ともっとストイックな視点で捉えられていたね。鑑賞していて、素直に写っているモノを眺められる写真といえるんじゃないかな。

これが、自己模倣かどうかといった話はここでは出さないけれど、少なくとも、都築以外がこういう手法で写真を作ると、“都築響一の亜流だ”と言われることになるのは間違いないよ。そういう意味でも、これができるのは都築しかいないし、「TOKYO STYLE」の影響が薄れてきた今、「賃貸宇宙」と立て続けにこの手法を用いて、イマドキの若者に対して存在感を「これでもか」ってくらい固めたかったのかもしれないけれど、

これは固めすぎ。

でも実は、彼のほんとにスゴイ所は手法でもなんでもなくてね、その行動力なんだよね。だから、これを見せ付けられて「同じことをしても」と諦めるのは、彼の術中にハマッてるってことになるんじゃないかな。
同じ手法でも、亜流でもいいから、彼を超える行動力によってこれ以上の写真を作る者、そういうのが出てこない限り、彼の写真は安泰ってワケなのさ。

いずれにしても、この展示を存分に楽しみたいなら、まず十分に社会勉強をして予習してから臨むことをオススメするよ。