SEPTEMBER 7 ,2004




■Henri Cartier-Bresson / アンリ・カルティエ=ブレッソン
No.010
[出版社] 大阪芸術大学
[判型] A4判
[価格] 2,000円



―――みなさんこんにちは。今回は、突然の訃報を受け緊急追悼企画として、アンリ・カルティエ=ブレッソンを取り上げたいと思います。JINさんよろしくお願いします。

「はい。まず、偉大なる写真家のご冥福をお祈りいたします。実は、もっと早くに取り上げてしかるべき写真家なのですが、ちゃんとした写真集を持っていなくて、先送りになっていたんです。いつか写真集を買ってからと思っていたのですが、こんな形で紹介することになるなんて...残念でなりません」

―――今回のは写真集ではなく図録なのですね。

「そうです。大阪芸術大学所蔵 アンリ・カルティエ=ブレッソン コレクション展で購入しました。展示は無料にも関わらず、会期途中で展示替えがあるなど充実したもので、何度も足を運んだ記憶があります。しかし、この図録は有名なイメージは大きいものの、後半はサムネイルのような小さいイメージをギュッと並べてあるので展示との落差がちょっとがっかりでした。入場料代わりに購入したようなものですね」

―――なるほど。しかしブレッソン程の写真家の写真集をお持ちでないのには何か理由があるのでしょうか。

「ううむ、二つあると思います。一つは、ブレッソンの写真展と聞くと見に行っているので、その図録を何冊も持っているということ。もう一つは、代表作となる写真集が欲しいからですね」

―――しかし、代表作というと、『決定的...

「ええ、『Images a` la sauvette』です。まだ右も左も分からずに写真集を買い始めた頃、洋書売場へ行っては探していたんです、とうの昔に絶版とは知らずにね(苦笑) だって、篠山と荒木を除けば、初めて名前を覚えた写真家がブレッソンだってぐらいですから。オークションに出たボロボロのものを競ったこともありました。もちろん手の出ない金額まで上がっていったのですが。そうこうしているうちに、他の写真家の写真集に目移りしていって、図録で持っているブレッソンは後回しになっていったんです。しかしこれはぜひ、復刻してほしい写真集のひとつですね」

―――今でも新刊で手に入る代表作はどうなのでしょう。ブレッソンが亡くなった今、注目されてくると思うのですが。

「そうですね『Europeans』がそれにあたると思います。あと『the Man, the Image and the World』もいいかもしれません。ただ、前者は撮影時期的にも被写体的にも括りがあって外れている代表作もありますし、ブレッソン財団設立を記念して制作された後者は、あまりにも網羅的で資料としての意味合いのほうが強いと思うんです。どちらも"この一冊”という感じではないので購入には至っていないんです。とはいえ、買える物なら両方一度に欲しいというのが正直なところですが(笑)」

―――そろそろお時間のようです、最後に一言お願いします。

「今後、全世界を回る彼の"二度目”の追悼展が行われるでしょう。写真家としてはとうの昔に引退しているブレッソンなので、果たしてどのような展示構成で過去の展示と差別化を図るのか今から楽しみです。また図録を買ってしまうかもしれません。でも、写真集と図録は違うもの。いつか、写真集を手にしたときは、あらためて紹介したいと思っています。いつか必ず」


―――神様と呼ばれた写真家がいました。鷹の目とビロードの手を持つ神によって撮られた写真です。そんな写真のコレクションが日本にあるという幸せ。アンリ・カルティエ=ブレッソンの一冊。