NOVEMBER ,2007




11/14 つづき
一方、保育器に監禁されているエナさんは、高熱は脱したとのこと。

 
生まれてすぐに離れ離れなんて、という感傷もお構いなくスヤスヤと。 

 
また、来るからネ。 

 
お腹を開けると、そこには黄泉の国が見えた...Mは、たちまち大學病院へ搬送されることとなったのだ。

 
俺も30年ぶりに救急車に乗り込む。今回は付添いとして。 

 
救急車は非常に揺れる。なんたって急発進急ブレーキノンストップなんだから。 

 
いま、ここが、現場だ。現在進行中の話だ。 

 
皆、祈っているように見える時間外の大學病院。

 
撮るしかできない役立たずな俺...こんなとき医者だったらなにか出来たのだろうか。親父も昔肉親を亡くした時に同じように思ったのだろうか。

 
「死にたくない」とMのいう。 

 
こんなにたくさんの機器を接続されて...

とうとう4人家族が、4人共バラバラになってしまった... 

 
俺は、今、俺の出来る最善を尽くすこと。
いつもと変わらぬこのコンセプトはこんな時によりいっそう頼もしい。
「不確定な要素についてクヨクヨ考えても詮無きこと、まずは確証を得てから考えればよい。今、俺達に出来ることは、“健康を保って待つ”ことですよ」
と、お義母さんに言ったのは、今にもハチ切れそうな144倍速回転を続ける俺の脳髄に言って聞かせるためだった。